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うたかたは [旅・場所]


『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。』
そう。
方丈記の冒頭のように、自分の財布は自分のカバンにはとどまらなかったのだ……。
とかそんなことを考える場合ではなく、次の手を考えなくてはならない。
バスターミナルへ行ったり、カバンの中を全部ひっくり返して探したり、電話して調べてもらったり、電話番号を調べたり、改札で話したり、調査結果の電話を待ったりと、意外と時間を消費していた。刻々と本来の出張目的である仕事の刻限が近づいていて、実は時間的余裕もかなりなかったりする。

自分のスーツ、カバンを再度探し、どうしても財布がない以上、自分の管理下にはないことは認めざるを得ない。
しかもめぼしいところには連絡して、そこにないということが分かったということは、自分のカード類を使われてしまうリスクが高くなってしまったことになる。
銀行のキャッシュカードの暗証番号は自分の財布の中にある物からは推測できないはずなので、怖いのは適当なサインで買い物ができてしまうクレジットカードの方だ。
スマホでカード会社のサイトへアクセス。
紛失時の連絡先がわかりやすく書いてある。自分のような人が多いのだろうなと思ったり。

電話しながら移動を開始する。
幸いなことに、駅から歩ける場所に出張先の会社がある。
これがタクシー必須の場所とかだったら大変なことになっていた。(苦笑)

1件目のクレジットカード会社に連絡し、カードを無効にし、登録住所へ新しいカードを送るようにお願いした。
目的地の場所をたまにスマホで地図確認しなくてはならず、また歩きながらの電話やブラウザで電話番号確認するのも危ないので、結局無効化したのは1件だけだった。
客先に到着。
受付を済ませる。

訪問先がセキュリティに厳しくなくて良かった。
最近は設計部門や生産部門などの入退場が厳しくなっていて、身分証明書を見せないと入れない場合もある。
残念ながら、自分の身分を証明するものはすべて財布の中なわけで、そうなっていたら入場にも一苦労だったわけだ。
財布紛失前に昼食を済ませていたり、タクシーやバスを使う場所への移動ではなかったり、身分証明書不要で入場できるお客さんだったりと、意外とツイてる。(いや違う)

客先の敷地に入場すれば連絡が行き、当然お客さんも迎えに来るわけで、もはやカード会社の番号を調べて電話したりしている場合ではない。
仕事をしないと。
気分を入れ替えて入場時に指示された待合室で待っていると、知らない番号から電話がかかってきた。
電話に出るのか? どうする、おれ。
つづく。
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