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大塚国際美術館 ジャック=ルイ・ダヴィッド [美術・娯楽]

ジャック=ルイ・ダヴィッド。
18世紀生まれのフランス出身の画家だ。
比較的遅咲きの芸術家。
ナポレオンの首席画家に任命されており、彼が描くナポレオンの何点かの絵画は非常に有名だ。

大塚国際美術館にはルイ・ダヴィッドの作品が3点あり、ここでは1点取り上げる。

レカミエ夫人の肖像
『レカミエ夫人の肖像』。
レカミエ夫人は世界の歴史の中でも、最も美しい女性と云われている。(世界で最も美しいと言われる女性はいっぱいいるけど)
性格は、聡明で信念が強く、忍耐強く、頑固で、教養が高かったそうだ。
上流階級の多くの人を魅了し、ナポレオンが愛人にと希望した。
その愛人へと画策するなかでナポレオンがジャック=ルイ・ダヴィッドに描かせたのがこの絵画。
レカミエ夫人はこの絵そのものを気に入らなかったらしい。
フランソワ・ジェラールによって描かれたレカミエ夫人のほうがいかにもフランス的で好まれたのだろうと思う。
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大塚国際美術館 ジョルジュ・スーラ [美術・娯楽]

ジョルジュ・スーラ。
19世紀生まれのフランス出身の画家だ。
点描画で有名だが、あまりその生涯は言及されない画家な気がする。
31歳と若くして亡くなっているが、油彩画約60点と油彩下絵約170点、素描約230点を残している。
寡黙で内省的な性格であったらしく、自分の母親にも内縁の女性との間に子供ができたことすらしばらく伝えていなかったというエピソードがある。

大塚国際美術館にはスーラの作品が3点あり、ここでは1点取り上げる。

グランド・ジャット島の日曜日の午後
『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。
原画はアメリカのシカゴ美術館が所蔵している。
ポスト印象派の時代のフランス絵画を代表する作品だ。
グランド・ジャット島はパリ西部のセーヌ川の中州にある。
スーラはこの絵の制作に2年をかけ、似た構図の絵や習作が多く残っている。
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大塚国際美術館 ヨハネス・フェルメール [美術・娯楽]

ヨハネス・フェルメール。
17世紀生まれのオランダ出身の画家だ。
バロック絵画を代表する画家の1人であり、同時代のオランダ出身の画家としてはレンブラントがいる。
著名な画家だが、現存する作品数が少なく三十数点しかない。
20代のころは裕福で、パトロンや資産のある義母のおかげで、ラピスラズリなど高価な顔料を惜しげもなく使うことができた。
しかし、戦争の影響などによる絵画市場の縮小などもあり困窮していくようになる。彼が40代前半で亡くなったときには、多大な負債と未成年の子どもを含む多くの家族が残された。

大塚国際美術館にはフェルメールの作品が6点あり、ここではその6点すべてを取り上げる。
(大塚国際美術館ではフェルメールギャラリーと呼ばれる細い部屋に彼の作品が集約されている)

地理学者
『地理学者』。
原画はドイツのシュテーデル美術館が所蔵している。
2000年と2011年に来日しており、2011年のときは日本で鑑賞することができた。
『天文学者』に構図が良く似ており、モデルの風貌、東洋風の衣類などから、一対のものとして扱われてきた。
背景の棚に置かれている地球儀は、アムステルダムで制作されたもので、地球儀と天球儀は当時同時に売買されており、それも一対のものではないかという根拠になっている。

ワイングラスを持つ娘
『ワイングラスを持つ娘』。
原画はドイツのヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館が所蔵している。
2008年に来日しているが、自分は鑑賞していない。
こちらも似たモチーフの別の絵画がある。『紳士とワインを飲む女』だ。室内の男女とワインという舞台が同じ絵画だが、雰囲気は異なる。
『紳士とワインを飲む女』は上流階級が落ち着いてワインを飲む様子であるのに対し、『ワイングラスを持つ娘』は女性の仕草にワインを飲むべきかためらっているようにも男の思惑を見透かして妖艶に微笑んでいるようにも見え、やや世俗的だ。

ヴァージナルの前に立つ女
『ヴァージナルの前に立つ女』。
原画はイギリスのナショナル・ギャラリーが所蔵している。
ヴァージナルとはチェンバロに似た鍵盤楽器のことで、ルネサンス音楽やバロック音楽でよく用いられた。(その後ピアノがとってかわる)
これも似たモチーフの絵がある。左右が逆で、姿勢も異なるが、『ヴァージナルの前に座る女』という絵画がある。
こうしてみるとフェルメールは一つのテーマを違う角度から違う表現をすることを好んでいたようにも思える。
この『ヴァージナルの前に立つ女』は来日していない。(『ヴァージナルの前に座る女』は2008年と2020年に来日している。)

青衣の女
『青衣の女』または『手紙を読む青衣の女』。
原画はオランダのアムステルダム国立美術館が所蔵している。
2011年に来日した際、鑑賞した。
フェルメールは手紙を描いた作品がいくつかあり、これもその一つ。他には『窓辺で手紙を読む女』や『手紙を書く女』、『手紙を書く婦人と召使』などがある。
手紙を題材にしたのはフェルメールだけでなく、その当時のオランダの風俗画ではよく取り上げられられた題材らしい。

牛乳を注ぐ女
『牛乳を注ぐ女』。
原画はオランダのアムステルダム国立美術館が所蔵している。
アムステルダム国立美術館はこの作品のことを「疑問の余地なく当美術館でもっとも魅力的な作品の一つ」としている。
2007年と2018年に来日した。
テーブルの上の牛乳とちぎったパンの存在から、ブレッドプディングを作っているところだという説がある。流れる牛乳の様子がリアルに描写されている。

小路
『小路』。
原画はオランダのアムステルダム国立美術館が所蔵している。
2008年に来日している。
フェルメールが住んでいた17世紀のデルフトの様子を描いた絵画。
日本ではフェルメールは人物を中心にした絵画が有名で、この作品はそれほど知られていないと思う。(少なくとも自分は他の作品よりも目にする機会がなかった)
この場所が実際にはどこだったのか長らくわからないままだったが、2015年に当時のデルフトの運河沿いのすべての家屋や通路のアーカイブを本格的に調査した結果、現在ではその場所が特定されている。

デルフト眺望
『デルフト眺望』。
原画はオランダのマウリッツハイス美術館が所蔵している。
来日したことのない作品。
フェルメールは、先に取り上げた『小路』とこの『デルフト眺望』が都市の様子を描いた作品で、風景画としてはこの2点のみだ。
個人的にはこの作品はかなり新鮮に感じた。
この作品が競売にかけられた際、現在の所蔵館であるマウリッツハウス美術館の当時の館長は当初関心を示さず、アムステルダム国立美術館の館長は所蔵を希望した。アムステルダム国立美術館は政府に働きかけ、政府が落札したものの、国王のウィレム1世はハーグへの移管を命じ、結果的にマウリッツハウス美術館の所蔵となっている。その際、マウリッツハウス美術館館長は「当コレクションにさほどふさわしいとは思えない」という言葉を残したが、その後人気となった。
アムステルダム国立美術館に置いてあげればよかったのに。

最後に取り上げるのは、おそらくフェルメールでもっとも有名な作品。
真珠の耳飾りの少女
『真珠の耳飾りの少女』。『青いターバンの少女』や『ターバンを巻いた少女』とも呼ばれる。
「オランダのモナ・リザ」とも称される。
原画はオランダのマウリッツハイス美術館が所蔵している。
1984年、2000年、2012年、2018年と何度も来日しており、自分は2012年のときに鑑賞した。
モデルは誰かわかっていない。一説には娘のマーリアではないかという意見があるが、確たる証拠がなく、謎のままだ。
その謎が創作意欲をかきたてるのか、いろいろな作家や映画監督が題材にとりあげている。
1881年まで所有者が転々とし、オークションにおいて2ギルダー30セント(およそ1万円)でこの絵を購入したのがデ・トンブ。デ・トンブには相続人がいなかったため、彼の死去後、この絵は他の絵画と一緒にマウリッツハイス美術館に寄贈され、以後も所蔵されている。落札時点で非常に状態が悪かったため、1882年に補修が行なわれ、1960年にも補修が行われている。1994年から96年の2年をかけて徹底的かつ入念に修復作業され、やっとフェルメールによって描かれた当時の状況に非常に近いものとなった。
現在競売にかけられるなら、その価格は150億円にもなるのではないかと言われている。
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大塚国際美術館 エドガー・ドガ [美術・娯楽]

エドガー・ドガ。
19世紀生まれのフランス出身の画家だ。
銀行家の息子として生まれ、裕福な生活をしていた。しかし負債を隠していた父が亡くなり兄が事業に失敗すると生活は厳しく、絵画をたくさん描き、売っていかなければならなかった。
裕福な時代にオペラ座の定期会員となり、バレエを好んで鑑賞した。
その当時の定期会員は楽屋などに自由に出入りできる特権があり、バレエの稽古場や楽屋の様子を描いた作品が多いのもそれが理由だ。
気難しく皮肉屋な性格のため、画家仲間との衝突が絶えず、あまり友人はいなかったようだ。

大塚国際美術館にはドガの作品が10点あり、ここでは1点取り上げる。

20211127.jpg
『踊りの花形』(『エトワール』や『舞台の踊り子』とも呼ばれる)。
ドガ随一の代表作とされる有名な作品。
原画はフランスのオルセー美術館が所蔵している。
舞台という特殊な場所で下から上へ照らされる人工の光を浴びて踊る様子が特徴的であり、非常に印象深い。
この作品に使用されているパステルは光に弱いため、長期で照らされると色褪せが発生することから、所蔵先のオルセー美術館では、照明を落としてガラスケースの中に入れられた状態で公開されているそうだ。
大塚国際美術館では、十分に明るい中で鑑賞できる。
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大塚国際美術館 ドミニク・アングル [美術・娯楽]

ドミニク・アングル。
18世紀生まれのフランス出身の画家だ。
幼少期から絵画を学び、11歳の時トゥールーズの美術アカデミーに入学、10代後半に新古典派の巨匠、ジャック=ルイ・ダヴィッドのアトリエに入門、20歳のころ当時の若手画家の登竜門であったローマ賞を受賞するなど、順調にキャリアを重ねた。
その当時としては長寿で86歳で亡くなっているが、82歳のときに絵画作品を発表しており、芸術活動量は旺盛だったと言える。
音楽家としての一面もあり、ニコロ・パガニーニと弦楽四重奏団を結成している。パガニーニと言えば、ラ・カンパネッラ、ヴェニスの謝肉祭、カンタービレなどの曲を残したヴァイオリンの名手で、彼と演奏を共にするほどの腕があったとは、多才な人は本当に多才なのだなと感じる。

大塚国際美術館にはドミニクの作品が5点あり、ここでは1点取り上げる。

グランド・オダリスク
『グランド・オダリスク』。
オダリスクとはトルコの後宮の女性を意味する。
原画はフランスのルーブル美術館が所蔵している。
発表した当時は、人体のつくりとして不自然である、脊椎が3つ多いのではなどと批判を浴びた。
1814年に完成したが、そういった批判は10年続いたという。
アングルはデッサンの名手であり、これは意図したものであり、正確さよりもより理想的な美を描くことを優先したとされている。
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大塚国際美術館 グスタフ・クリムト [美術・娯楽]

グスタフ・クリムト。
19世紀生まれのオーストリア出身の画家だ。
7人兄弟の2人目として生まれ、弟の中には彫刻師や彫金師がおり、額の設計を手掛けたとのこと。
クリムトは官能的な作品が多い。
結婚はしなかったが、愛人が多く婚外子が少なくとも14人以上いたとのことだ。

大塚国際美術館にはクリムトの作品が3点あり、ここでは1点取り上げる。

接吻
『接吻』。
原画はオーストリアのオーストリア美術館が所蔵している。
クリムトの最も有名な作品だ。
総合芸術展で好評を呼び、展覧会終了と同時にオーストリア政府に買い上げられた。
モデルに関してはクリムトのパートナーであったエミーリエ・フレーゲとされている。
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大塚国際美術館 ジャン=フランソワ・ミレー [美術・娯楽]

ジャン=フランソワ・ミレー。
19世紀生まれのフランス出身の画家だ。
ミレーは農家に生まれ、田園や農民に関連した作品を多く制作した。
60歳で亡くなるまで油彩画を約400点、パステル画を約200点残した。

大塚国際美術館にはミレーの作品が4点あり、ここでは1点取り上げる。

落穂拾い
『落穂拾い』。
原画はフランスのオルセー美術館が所蔵している。
刈り入れが終わった後の畑に残った麦の穂を拾い集める3人の貧しい農婦が描かれている。
非常に有名な作品だ。
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大塚国際美術館 フィンセント・ファン・ゴッホ [美術・娯楽]

フィンセント・ファン・ゴッホ。
19世紀生まれのオランダ出身の画家だ。
ゴッホは誰もが知る画家として非常に有名。
生前に絵画がほとんど売れず、30代半ばあたりから精神的に非常に不安定な時期が多く、最後は銃で自殺した。(自殺説には異論もある)
亡くなってから評価が非常に高まった画家のひとり。
ゴッホをよく支えた弟のテオもゴッホ死去の翌年に亡くなっている。

大塚国際美術館にはゴッホの作品が20点あり、ここでは8点取り上げる。
そのうちの最初の7点は、ゴッホの作品として有名な『ヒマワリ』。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画はアメリカの個人が所蔵している。
最初に制作されたと考えられている。
花瓶に飾られたヒマワリの数が3本と少なく、いずれも満開の状態という点が特徴的。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画は1920年に実業家の山本顧彌太が所蔵していたが、アメリカの阪神大空襲で焼失した。
2番目の作品とされる。
大塚国際美術館が原寸大で再現したもの。
1番目と2番目のヒマワリは10本未満で、3番目以降のヒマワリはいずれも10本以上となっている。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画はドイツのノイエ・ピナコテークが所蔵している。
3番目の作品とされる。
12本のヒマワリが描かれ、1番目や2番目の作品よりも豪華で明るい印象を受ける。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画はイギリスのナショナル・ギャラリーが所蔵している。
4番目の作品とされる。
15本のヒマワリが描かれる。この4番目~6番目の作品とがヒマワリの数として最多。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画は日本のSOMPO美術館が所蔵している。
5番目の作品。
当時の為替レートで約53億円で落札された絵画。
4番目の作品とヒマワリの構図が近く、本人が模写したと言われている。
署名がないため、偽物ではないかという疑惑もあったが、ゴッホ美術館の学芸員・修復技官らによる調査で真筆であると報告された。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画はオランダのファン・ゴッホ美術館が所蔵している。
6番目の作品。
4番目あるいは5番目の作品を模写したものと考えられている。
2年前に、ファン・ゴッホ美術館が「振動や気温・湿度の変化による損傷を避けるため、館外への貸し出しを禁じる措置がとられる」と発表したため、原画は現地で鑑賞するしかなくなった。

ヒマワリ
『ヒマワリ』。
原画はオランダのファン・ゴッホ美術館が所蔵している。
7番目の作品。
3番目の作品を模写したものと考えられている。
ゴッホが亡くなる半年前に描かれた。

ゴッホのヒマワリは、彼自身の不遇さも相まって、よく小説や漫画でも取り上げられる。
個人的に印象深いのが、藤原伊織のミステリー『ひまわりの祝祭』。

タンギー爺さん
『タンギー爺さん』。
原画はフランスのロダン美術館が所蔵している。
背景に浮世絵が描かれている。
モデルとなったジュリアン・フランソワ・タンギーは、パリで画材屋兼画商を営んでいた。
ゴッホの死に際して葬儀に参列した数少ない人物。
貧しい画家への理解が深く、当時の画家たちから親しまれていた。
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大塚国際美術館 フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ [美術・娯楽]

フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワ。
18世紀生まれのフランス出身の画家だ。
ドラクロワは王政復古とその後に起こる市民革命の時代に活動したロマン主義の画家として有名だ。
批評家たちから批判されることも多かったが、フランス政府にいくつか買い上げられるなど政府とは良好な関係だったといえる。
フランス政府の外交使節に随行する記録画家としてモロッコを訪問し、北アフリカの様子を作品にしたりもしている。

大塚国際美術館にはドラクロワの作品が5点あり、ここでは1点取り上げる。

民衆を導く自由の女神
『民衆を導く自由の女神』。
原画はフランスのルーブル美術館が所蔵している。
日本ではドラクロワの作品としてこの絵画が一番知られていると思う。
自分がこの絵画を知ったのは高校生の時。美術の時間ではなく、社会の歴史の時間だったと記憶している。1830年に起きたフランス7月革命を主題としていて、その挿絵として使われていた。
彼の肖像と共に、旧フランス・フランの100フラン紙幣に描かれたこともあったようで、フランスを代表する絵画の一つであることに間違いはない。
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大塚国際美術館 パブロ・ピカソ [美術・娯楽]

パブロ・ピカソ。
19世紀生まれのスペイン出身の画家だ。
キュビスムの創始者として知られる。
作品は非常に多く、15万点以上を残した。版画、絵画、素描、彫刻、陶器など種類も豊富だ。
生涯に2回結婚し、3人の女性との間に4人の子供を作ったが、愛人はもっと多かった。
ピカソの孫にあたるマリーナの著書の中には「いいおじいちゃんになる方法を教えてあげられれば良かった」という言葉があるのは、そういった面に加えて、結婚相手や子どもが自殺したりしており、家庭的とは言えない生活を送っていたからだろう。

大塚国際美術館にはピカソの作品が16点あり、ここでは1点取り上げる。

ゲルニカ
『ゲルニカ』。
ピカソは有名な作品がいくつもあるが、この『ゲルニカ』はもっとも有名な作品と言ってもいいと思う。
高さ3.49m×7.77mと非常に大きな作品。
原画はスペインのソフィア王妃芸術センターが所蔵している。
パリ万国博覧会のスペイン館を飾る壁画の製作依頼を受けて描かれた作品だが、スペインに戻ってくるまで複雑な経緯が存在した。
万博終了後フランスにあるピカソのアトリエに送り返されたのち、しばらくしてアメリカの主要都市で展覧される。第二次世界大戦が勃発したことから、戦渦に巻き込まれることを懸念したピカソの希望により、ニューヨーク近代美術館に保管される。
その後、ヨーロッパでの展覧も行われるが、ずっとニューヨーク近代美術館所蔵扱いであり、1981年になるまでスペインの美術館の所有物として戻ってくることはなかった。

こういった大作は運び出すのも大変であり、保険費用がかかる点や警備の難しさもある。実物大の大きさの作品として見られる大塚国際美術館の試みは素晴らしいと思う。
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大塚国際美術館 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー [美術・娯楽]

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。
18世紀生まれのイギリス出身の画家だ。
幼少のころは教育を受けないなど、あまり恵まれなかったか、24歳の若さでロイヤル・アカデミー準会員に、26歳の時には正会員になるなど、若いころから絵画について評価されていた。

大塚国際美術館にはターナーの作品が5点あり、ここでは1点取り上げる。

解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号、1838年
『解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号、1838年』。
原画はイギリスのナショナル・ギャラリーが所蔵している。
イギリス国内にある絵画の中で最も人気のある絵画に選ばれたことがある。
2020年に新しくデザインされた20ポンド紙幣の裏面に、ターナーの肖像とともにこの絵画が描かれたほどで、イギリスにおける人気が高い絵画だ。
個人的にもこの絵画は、色調や雰囲気が好みだったりする。

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大塚国際美術館 レオナルド・ダ・ヴィンチ [美術・娯楽]

レオナルド・ダ・ヴィンチ。
15世紀生まれのイタリア出身の芸術家だ。
ルネサンス期を代表する芸術家と言って誰も異論を唱えない偉人。
画家としても一流だが、解剖学者、工学技術者、発明家など、さまざまな分野で才能を発揮した。

大塚国際美術館にはレオナルドの作品が共同制作を含めて11点あり、ここでは3点取り上げる。

最後の晩餐
最後の晩餐
上が『最後の晩餐』(修復前)で、下が『最後の晩餐』(修復後)だ。
原画はイタリアのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院にある。
修道院の食堂に描かれていたため、湿気や湯気などで傷みが激しく、顔料の剥離が進んでいた。
何度か修復されてきたが、修復のレベルにばらつきがあり、元に近づけた近代的な修復は1977年から1999年にかけての大修復作業まで待たされることになった。

受胎告知
『受胎告知』。
現在はレオナルド・ダ・ヴィンチとアンドレア・デル・ヴェロッキオの共作とされているが、しばらくは別人の作品とされていた。
原画はイタリアのウフィツィ美術館に所蔵されている。
2007年に来日しているが、自分はそのときは鑑賞に行っていない。

モナ・リザ
『モナ・リザ』。
彼の作品でもっとも有名な絵画。
原画はフランスのルーブル美術館が所蔵している。
「世界でもっとも知られた、もっとも見られた、もっとも書かれた、もっとも歌われた、もっともパロディ作品が作られた美術作品」と言われている。
一度盗まれたことがあり、ミステリーの題材に使われることもある。
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大塚国際美術館 フランシスコ・デ・ゴヤ [美術・娯楽]

フランシスコ・デ・ゴヤ。
18世紀生まれのスペイン出身の画家だ。
ゴヤは宮廷画家にまで上り詰めるが、多くの子を失い、聴力を失い、生命にかかわる大病を患い、キリスト教の粛清の影に苛まされ、友人たちが次々と投獄され、暗愚な王政に幻滅させられ亡命するなど、大変な一生を送った。
以前に、ゴヤの本について書いたことがある。(その記事はこちら

大塚国際美術館にはゴヤの作品が12点あり、ほぼ一部屋に集約されている。
ここでは3点取り上げる。

ゴヤの作品群のある部屋の真正面には、有名な『着衣のマハ』『裸のマハ』が展示されている。
『着衣のマハ』と『裸のマハ』
両作品とも1971年に来日し、展示された。その後『着衣のマハ』のみ2011年に来日している。
2011年の来日時は鑑賞に行った。(その時の記事はこちら

着衣のマハ
『着衣のマハ』。
原画はスペインのプラド美術館が所蔵している。
『着衣のマハ』は『裸のマハ』の後に描かれた。
どちらとも同じポーズをとっており、対となる絵だが、モデルが誰なのか確定していない。
当時の宰相ゴドイの邸宅から見つかっており、『裸のマハ』を先に描くよう依頼し、のちに対となる絵画を依頼したのではないかと言われている。
『着衣のマハ』は衣装が印象的で当時の文化がわかる絵画と言える。
マハとはスペインのアンダルシア地方の民族衣装を着た女性のことを意味する言葉で、18世紀ころには、上流階級の女性がこういった民族衣装を着ることを好んだそうだ。

裸のマハ
『裸のマハ』。
原画はスペインのプラド美術館が所蔵しており、並べて展示されている。
『裸のマハ』はゴヤの絵画の中でもっとも有名だと思う。
西洋美術史で最初のヘアヌード絵画であり、キリスト教異端審問会で問題視され、最終的にはそれを避ける形でフランスへ事実上亡命している。
ヨーロッパは教会による文化抑圧がたびたび見られるが、ゴヤもその影響を受けたわけだ。

マリア・テレサ・デ・ボルボンの肖像
『マリア・テレサ・デ・ボルボンの肖像』。
マリア・テレサ・デ・ボルボンは、スペインの王子ルイス・アントニオとアラゴンの貴族マリア・テレサ・デ・バリャブリガ・イ・ロハスの次女として、ベラダで生まれた。
上に出てくるゴドイと政略結婚させられた悲劇の女性だ。
最終的には亡命先で金に困窮し、49歳のとき癌で亡くなる。
彼女は、ゴヤが描いた最も美しい婦人像のモデルになったが、その一生は王族の血を引く伯爵家の令嬢として生まれたにも関わらず、悲劇と呼ばれるものだった。
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大塚国際美術館 サンドロ・ボッティチェッリ [美術・娯楽]

サンドロ・ボッティチェッリ。
15世紀生まれのイタリア出身の画家だ。
メディチ家の保護を受け、初期ルネサンスで最も業績を残した画家で宗教画を多く描いたが、教会勢力によって異教的作品と名指しされ、いくつもの作品が焼却処分されている。
彼の死後、彼の作品はあまり高い評価を得ず、19世紀末あたりで再評価された。

大塚国際美術館にはボッティチェッリの作品が4点あるが、ここでは2点取り上げる。

ヴィーナスの誕生
『ヴィーナスの誕生』。
ギリシア神話で語られる、女神ヴィーナスが海で誕生し出現した様子を描いている。
原画はイタリアのウフィツィ美術館が所蔵している。
美を強調するため、首の長さや肩の角度などは人体としてはありえないものとなっているが、不自然さを感じさせない。

プリマヴェーラ
『プリマヴェーラ』。
こちらの原画もイタリアのウフィツィ美術館が所蔵している。
描かれている人物像について様々な説が唱えられてきた作品で、世界でもっとも言及され、議論の的となっている絵画の一つ、とも言われる。
現在の解釈では、舞台は世界の西にある永遠の春の園ヘスペリデス。右の春を告げる西風の神であるゼピュロスがニンフのクローリスを拉致して自分のものにした。ニンフが嘆いたため代償として、彼女を春の女神フローラに変身させた。右手の三人は愛と性・死と再生・永遠の寓意を示しており、左の三人は古代の三優美神で美・貞節・愛欲を擬人化したもの。中央にはヴィーナスが配されている。
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大塚国際美術館 レンブラント・ファン・レイン [美術・娯楽]

レンブラント・ファン・レイン。
オランダ出身の画家だ。
「光の魔術師」などの異名を持ち、光と影の描き方が印象的な絵が多い。
幼い子供を何人も病気などで失い、愛人関係でもめ、浪費癖から金銭に事欠くありさまだったようで、彼もなかなか波乱に富んだ人生を送っている。
(何の関係もないが彼の没日は自分の誕生日だったりする)

大塚国際美術館にはレンブラントの作品が多く29点あるが、ここでは2点取り上げる。

夜警
『夜警』。ただ、これは通称で、より正確には『フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊』らしい。
彼の代表作。
原画はオランダの国立美術館が所蔵している。
縦3.63メートル×横4.37メートルと大きな絵であり、写真を撮るのもなかなか大変な絵だ。(この画像も含め、撮影時に遠近が出てしまった画像は変形機能で補正してある)
この絵は観客によって3度も損傷を受け、そのたびに修復されてきたそうだ。

放蕩息子の帰還
『放蕩息子の帰還』。
原画はロシアのエルミタージュ美術館が所蔵している。自分が訪れたときにも目にした。
彼が亡くなる前年に完成させたと言われており、最晩年の宗教画となった。
この絵は聖書に出てくる寓話の中の一場面、放蕩息子が父親のところへ帰ってくるシーンを描いている。
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大塚国際美術館 エドヴァルド・ムンク [美術・娯楽]

エドヴァルド・ムンク。
ノルウェー出身の画家だ。
別れ話がこじれた相手と小競り合いのなか銃が暴発して左手中指の第2関節を撃ち砕く事故があったり、アルコール依存症になったり、精神病院に入院し治療したり、なかなか波乱な人生を歩んでいる。

大塚国際美術館には、ムンクの絵画は8点あり、そのうち2点を取り上げる。

叫び
『叫び』。
独特の不安定な色合いと模様が印象的だ。
ムンクの『叫び』は5点以上が制作されているが、これが一番有名な『叫び』だと思う。
原画はノルウェーのオスロ国立美術館が所蔵している。
発表した当時の評論家たちはこの作品を酷評したそうだが、いまでは非常に高い評価を受けている。
この油彩画の『叫び』ではなくパステル画のほうは1億1990万ドルで落札されたほど。

星月夜
『星月夜』。
同じ題名だと、 フィンセント・ファン・ゴッホの絵画のほうが有名だ。
原画はノルウェーのムンク美術館が所蔵している。
この作品は、個人的に印象に残ったので撮影した。
後から調べてみると、この作品は自宅から眺めた風景を描いたものと言われている。そしてフィンセント・ファン・ゴッホの絵画からインスピレーションを受けて描かれたオマージュではないかという意見があった。
どちらとも寂寥感のある絵画だ。
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